「バイオインフォマティクス技術者認定試験」傾向と対策(2021年度版)

日本バイオインフォマティクス学会(JSBi)による認定試験にバイオインフォマティクス技術者認定試験(BI技術者認定試験)というものがあります。これはバイオインフォマティクスの基本的知識が備わっているかを評価するための試験で、これから専門的に研究などやっていく人のための知識の整理のための試験といえます。また、この試験に合格することで履歴書に「JSBi認定バイオインフォマティクス技術者」と記載することも可能になります。

試験勉強としては、学会公式の参考書と過去問演習が主になってくると思います。ここでは、バイオインフォマティクス技術者認定試験の2015-2019の5年間の過去問を分析してその傾向を見ていきましょう。

※2020年度試験時点までは過去問が公開されていましたが、現在は参考問題のみの公開となっているようです(2021/3/2現在)。今後過去問の公開が再開されるのかはわかりません。

傾向と対策

2019年度まではマークシート方式の80問でしたが、2020年度よりCBT方式の60問に変更されています。実際に2020年度の試験を受験してみましたが、難易度や傾向についてはマークシート方式の試験と大きくは変わらない印象でした。

試験自体は生命科学から計算科学、バイオインフォマティクスの基本的なことまで広く浅くで、これからバイオインフォマティクス分野に進んでいく人向けの基礎知識を試すためのものという位置づけになると思います。出題範囲は以下の通りです。

試験対策としては学会公式の参考書である「バイオインフォマティクス入門」と過去問が基本になると思います。ただし、従来は学会ホームページで過去問が公開されていましたが、CBT方式になってから公開が終了してしまっているようです(2021/3/2現在)。「バイオインフォマティクス入門」にも試験の過去問が付属しているので、現状ではその過去問を使うしかなさそうです。参考問題として公開されている問題は以下の通りです。

参考書

まずは学会公式の参考書である「バイオインフォマティクス入門」がBI技術者認定試験のための教科書という位置づけになっています。

見開き2ページで1つのテーマについて解説されていて、そのテーマに沿ったBI技術者認定試験の過去問も掲載されているので、バイオインフォマティクスの入門書としても読みやすく、試験勉強の演習用にも使えます。

BI技術者認定試験の受験を考えているのであれば、購入が必須となる1冊です。ただし、2015年発刊なので最新の内容についてカバーが不十分な点もあり、過去問を用いた補充が欠かせません。

※ 現状では過去問は非公開となっていて、この本に付属している演習問題が過去問を入手する唯一の手段となっています(2021/3/2現在)。

そのほかに学会からおススメされている参考書には以下のようなものがあります。

過去問分析(2015-2019年度)

2015-2019のマークシート時代の過去問において、テーマごとに該当する過去問をまとめてみました。なお、ここでお示ししている出題テーマは独自の分類となっているので、学会公式の出題範囲とは必ずしも一致していないことはご了承ください。

なお以下では、「2017年度 問80」を「17-80」というように表していて、「実験手法:17-80」というのは「実験手法に関する出題は[2017年度 問80]が該当する」ということを表しています。

生命科学

全80問のうち、おおよそ20問が「生命科学」からの出題となります(2019年度まで)。この分野における主な出題テーマは以下のようになります。

この分野は広く浅くが特徴で、基本的な生命科学の基礎知識があれば問題ありません。おおよそ「バイオインフォマティクス入門」に沿った内容ですが、CRISPR/Cas9を使ったゲノム編集など新しい技術についての話題は「バイオインフォマティクス入門」ではカバーされていないので注意してください。また、倫理の問題は難しい出題はあまりありませんが、「バイオインフォマティクス入門」ではカバーされていないので、こちらも注意が必要です。

計算科学

全80問のうち、おおよそ20問が「計算科学」からの出題となります(2019年度まで)。この分野における主な出題テーマは以下のようになります。

こちらも広く浅くが特徴ですが、出題されるテーマはある程度限られており、「バイオインフォマティクス入門」に沿った勉強が基本になります。2進数・補数表現など生命科学系には馴染みのないテーマも散見されるので、試験の合格だけを考えるのであれば難しいテーマの勉強は後回しでもいいかもしれません。

探索アルゴリズムについては二分探索が頻出なので必ず押さえておきましょう。計算量表記についても頻出なのでしっかりと押さえておきましょう。また、各種ソート法の計算量についても確認しておいてください。

また、最近では「バイオインフォマティクス入門」ではカバーされないグラフ理論(隣接行列など)の出題もやや目立っていました。

配列解析

全80問のうち、おおよそ10問が「配列解析」からの出題となります(2019年度まで)。この分野における主な出題テーマは以下のようになります。

動的計画法によるアラインメントに関する出題は毎年あるので、「バイオインフォマティクス入門」を用いて必ず自分の手を使って計算できるようにマスターしておいてください。その他隠れマルコフモデルやドットプロット解析、接尾辞配列など「知らなければ解けないけど、知っていれば簡単」な問題が多く含まれるので、この範囲は重点的に勉強して得点源としましょう。RNAの二次構造についてもしっかりと暗記しておいてください。

構造解析

全80問のうち、おおよそ10問が「構造解析」からの出題となります(2019年度まで)。この分野における主な出題テーマは以下のようになります。

この範囲も配列解析と同様に勉強しないと解けない問題が多くあるので、確実にマスターしておきたいところです。タンパク質の立体構造については頻出なので、「バイオインフォマティクス入門」に沿って確実に暗記しておいてください。ラマチャンドランマップについても理解すれば簡単なので、食わず嫌いにならずに理解してください。

Tanimoto係数については「バイオインフォマティクス入門」ではカバーされていませんが、最近よく出ているので理解しておいてください。

遺伝・進化解析

全80問のうち、おおよそ10問が「遺伝・進化解析」からの出題となります(2019年度まで)。この分野における主な出題テーマは以下のようになります。

この分野もバイオインフォマティクスの基本となる分野です。特に系統樹については「バイオインフォマティクス入門」に沿ってしっかりと理解しておく必要があります。中立進化についても頻出です。また、メンデルの法則などの古典的な遺伝学についてもしっかりと押さえておきましょう。

オーミクス解析

全80問のうち、おおよそ10問が「オーミクス解析」からの出題となります(2019年度まで)。この分野における主な出題テーマは以下のようになります。

この分野は雑多な項目が多くありますが、特にNGS解析手法については頻出です。「バイオインフォマティクス入門」でも触れられてはいますが、「RNA-Seq、ChIP-Seq、WGBS、メタボローム解析、メタゲノム解析」などについてはしっかりと説明できるようにマスターしてください。

また、ネットワーク構造のうちベイジアンネットワークは「バイオインフォマティクス入門」では触れられていませんが、頻出なのでしっかりと押さえておいてください。

2020年度CBT試験を受験してみて

2020年度よりCBT形式に変更になり、従来は問題数が80問で試験時間が120分だったのに対して、2020年度からは120分60問へと変更されています。実際にCBT試験を受験しましたので、その感想をいくつか挙げてみます。

問題の順番がランダムになった

従来は「生命科学」→「計算科学」→「配列解析」→… のように出題分野ごとに問題がまとまっていましたが、CBT方式では完全にランダムになりました。

全国一斉試験ではなく、好きな時に受けられる試験なので、おそらく出題される問題はプール問題からランダムに選ばれるシステムなのだろうと思われます。

試験中にメモを取ることは可能

動的計画法の問題など、手で書き込みながら計算していく必要のある問題がありますが、メモ用紙と筆記用具を渡されるので、メモを取ったり手計算をすることはCBT方式でも可能です。ただし、そのメモ用紙は回収されます。

やっぱり過去問分析が大切

CBT方式にはなりましたが、過去問で見慣れた問題がちらほらと出てきていました。全く同じではないはずですが、過去問をやっていれば解ける問題が多かったような印象だったので、過去問が大切という基本的な勉強法は変わらないと思います。

試験終了直後に自分の正答率は分かる

CBT方式なので、試験が終了したら受付でスコア表をもらえます。実際の合格・不合格は合格ラインが発表されるまでわかりませんが、それでも自分の正答率と過去の合格ラインからおおよその結果は試験終了直後に分かります。

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