DIYバイオとは?

プロに頼むのではなくて自分で家具を作ったりするDIYに対して、いわゆる従来の大学・企業の研究室などではなく、自分たちの自宅や自作の研究室で細胞培養や生物研究をするのがDIYバイオです。ここでは、DIYとはどういうものかとその問題点などについてを説明していきます。

DIYバイオについて

DIYバイオの分野としては以下のようなものがあります。

  • 細胞培養
  • ゲノム解析(PCR)
  • ゲノム編集(CRISPR/Cas9)
  • セルフメディケーション

このほかにも通常の生命科学研究で行うような実験の多くはDIYで自宅でできてしまう時代が来ています。

DIYバイオのコミュニティとしては以下のようなものがあります。

DIYバイオの利点

研究者にとってのDIYバイオ

大学の研究室で研究するには、多くの場合は詳細な申請書を書いて科研費をとってそれに従った実験をすることになります。そうすると「何か思いついたものをちょっと試してみる」みたいなことはできずに、がちがちに固められた実験しかできなくなってしまいます。また、企業における実験も当然ながら企業の利益になる実験しかできないので、自分のやりたいことを試してみるということはなかなかできなくなってしまいます。

科研費をとるようなものではないちょっとした思い付きを予備実験として検証して、その後の研究につなげていけるのがDIYバイオのメリットかもしれないです。

学生にとってのDIYバイオ

高校生・大学生にとってのDIYバイオは生命科学研究の入門として最適です。自分の疑問を実験計画を立てて解決するというのは研究者にとって必須のスキルであり楽しいところですが、学生実習ではあらかじめ決められているプロトコルに従ってやるだけで、もしかしたら実験の一番楽しいところをすっ飛ばしてしまっているのかもしれません。

自分で試行錯誤して進めていくことができて、バイオ研究の本来の楽しいところを経験できるのがDIYバイオなのかもしれません。

一般の人にとってのDIYバイオ

限られた人だけの生命科学研究が誰にでもできるものになることで生命科学研究が身近なものになれるのが一番のメリットです。身近なものになれば得体の知れないものとしてゲノム編集のような生命科学の新しい技術を忌み嫌うこともなく、冷静な議論ができるようになると思います。

そして、何よりもずっと生命科学研究に携わってきてた人ではなく、いろいろなバックグラウンドを持つ人がDIYバイオで生命科学研究に携わることで、今までなかったような発想が出てくるかも知れません。DIYバイオによって生命科学研究のすそ野を広げることができ、オープンサイエンスから新しい風を送り込むことができるのが一番のメリットです。

DIYバイオの現状と問題点

日本におけるDIYバイオの現状

オウム真理教によるサリン事件の反省から、日本では研究試薬などは基本的に信頼できる企業や研究機関等にしか販売してくれません。そのため個人でDIYバイオをするための試薬を手に入れるのは難しく、日本におけるDIYバイオの大きな制約となっています。(外国から個人輸入するなどの手段はありますが…)

ただ、その中でもShojinmeat ProjectをはじめとしたDIYバイオの試みが盛り上がり始めているのが日本の現状です。NHKのテレビ番組などでも取り上げられて、徐々に知名度も上げてきています。

アメリカでのDIYバイオ

アメリカでは日本と違って、試薬を簡単に手に入れることができゲノム編集まで自宅でできてしまいます。研究室で行う実験には微生物の管理や遺伝子操作などに細かい規制がかかっていますが、自宅でやるDIYバイオはやりたい放題となってしまうのがDIYバイオの問題です。自分自身で”開発”した薬を自分自身に投与することも可能になってしまいますし、自分自身の遺伝子実験までできてしまうようです。

DIYバイオの将来

現在は幸か不幸か個人では研究試薬が手に入りづらく規制も厳しいので、アメリカのように自由にDIYバイオを行うことは難しいですが、今後徐々にDIYバイオの動きは広がっていくと思います。

DIYバイオ・コミュニティだけが突っ走ってしまったら、結局周りの理解は得られず今以上に肩身の狭い思いをするだけでしょう。

細胞培養くらいならそれが環境に影響を与えるリスクは少ないですが、遺伝子操作なども行うと生態系への影響も考えなくてはいけなくなります。人体への遺伝子操作も行うと倫理的な問題も出てきます。あるいは、DIYバイオで自作した”検査薬”や”治療薬”を使ってセルフメディケーションを行うと、逆に自分の健康に悪影響をもたらす結果になるかもしれません。

DIYバイオの特徴であるオープンサイエンスであることを活かせるようにオープンに議論を進めていくことで、DIYバイオは今後のライフサイエンス研究を切り開いていく存在になり得るはずです。そして、DIYバイオで日本のライフサイエンス研究のすそ野を広げていくことは、日本の科学技術力にとっても大きなプラスになるはずです。

では、最後にDIYバイオ・プロジェクトから派生したスタートアップを紹介します。

DIYバイオから派生したスタートアップ

DIYバイオ・プロジェクトの一つのShojinmeat Projectから派生したスタートアップがインテグリカルチャーです。

インテグリカルチャーは培養肉の実現を目指した会社です。培養肉のような既存の価値観を変えるような取り組みは、やはりDIYバイオだからこそできたことだと思います。もしかしたら、ライフサイエンス界におけるアップルやマイクロソフトのような大企業がすぐそこにいるのかもしれませんね!

関連記事・スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です