自宅で細胞培養!(現状とこれから)

個人で入手可能なものを使って自宅で細胞培養する方法を(勝手に)まとめてみました!

DIYバイオの中でも自宅で細胞培養するのは日本が進んでいるようです。特にShojinmeat Projectさんが培養肉の取り組みの一環として積極的にされているようです。では、自宅で細胞培養は本当にできるのでしょうか?さっそく見ていきましょう。

なお、この記事はほかのブログ記事などの情報のまとめ+αで、当記事内での検証は行っていませんのでご了承ください。

DIY細胞培養についての情報は以下のサイトに多くありますので、主にその情報を参考にさせていただきました。

Shojinmeat Project さんによるDIY細胞培養マニュアル

ここでは、Shojinmeat Project さんのDIY細胞培養の取り組みを大変参考にさせていただきました。

Shojinmeat Project DIY細胞培養マニュアル

培養細胞の入手

動物の細胞を採取するためには当然生きた動物が必要ですが、細胞の分化が終わって筋肉などになったものを取り出して培養してもそれ以上は増えてきません。そのため、まだ発生途上の胚(=卵の中の赤ちゃん)から細胞を取り出します。そうすることで筋肉などに分化する前の細胞(=筋芽細胞など)を得ることができます。

では、その「発生途上の胚」はどうしたら手に入れることができるのでしょうか?実は簡単でお店で食用で売っている有精卵を買って、それを発生させればよいらしいです。もちろん食用として低温で管理されているので、孵化させるために専用に管理されているものと比べると有精卵の発生に成功する確率は高くないのですが、ある程度の確率で発生には成功するようです。実際に個人で入手可能な培養細胞の入手先としては有精卵が使われることが多いようです。詳細はるるまゆさんのブログに詳しく書いてありました。発生させて12日程度で組織を採取すればよいようです。

このように、食用として市販されている鶏の有精卵を用いれば培養細胞は無理なく手に入りそうですね。

細胞培養に必要なもの

孵化装置

鶏の有精卵の発生には、温度 37.5℃、湿度 50-60%、6時間ごとに転卵(胚が癒着しないようにするために卵を回転させる)必要があります。タッパーなどを用いて手動で行ってもよいですが、予算に余裕があれば鶏用のふ卵器を購入するとよいと思います。

インキュベーター

細胞培養では、温度 37℃、湿度 100%、CO2 5%の環境を保っておく必要があり、通常はインキュベーターという装置を用いて行います。自宅でも使える小型の簡易インキュベーター P-BOXというものが売られているようです。

P-BOXの設定方法などは「るるまゆの実験ノート」に書かれていました。

温度・湿度の管理はある程度できますが、問題となるのはCO2の管理です。個人宅でCO2ボンベを使うのは敷居が高いですが、CO2カルチャーパルや重曹水を用いる方法などもあるようです。

培地

細胞培養に使う培地はDMEM培地が標準的です。DMEM培地に成長因子であるFBSを加えて細胞培養を行います。ここでは、さらに防カビ剤も培地に添加してしまって、クリーンベンチを使う代わりとしましょう。

ラボの流儀によっては抗生剤を添加する場合もあると思いますが、ここでは省略しておきます。

DMEM培地の作り方

研究試薬としての培地は個人ではなかなか手が届かないものですが(値段が高い & そもそも個人には売ってくれない)、実は一般の食品から作ることが可能のようです。Shojinmeat ProjectによるDMEM培地の作成のプロトコルがクックパッド(!)に公開されていました。

https://cookpad.com/recipe/5765268

Shojinmeat Project さんによるスライドと説明ムービーは以下です。

FBSの代用

FBSそのものを個人で入手するのは困難です。FBSの代替として卵黄0.05-0.1%程度を添加する方法があるようです。(まだ試行回数が少なく追試が必要とのこと)

防カビ剤

卵白リゾチームが天然の防カビ剤となるので、卵白5%を培地に添加するとよいようです。

FBSの代わりに卵黄を用いて、さらに防カビ剤として卵白を用いてクリーンベンチを不要とするこの方法については以下で検証されています。

細胞剥離液

細胞培養の継代の際には、ディッシュに張り付いた細胞を一度剥離させる必要があります。また、組織切片から細胞を単離する際にも細胞剥離液を用います。

通常のラボではトリプシンを用いますが、個人では入手が難しそうです。代替方法としてパパインを使用した方法などがあるようですが、十分には検証されていないようでした。

遠心分離機

細胞培養の継代の際は遠心分離機が必要になりますが、実はこのように扇風機などで代用できるようです。ただし、扱いには十分注意してくださいね!

顕微鏡

細胞の観察にはできれば位相差顕微鏡が欲しいところですが、値段は普通の顕微鏡と比較して一桁上がってしまいます。一応、細胞の生死判定くらいなら通常の顕微鏡でもできるらしいです。

オートクレーブ

培地や実験器具を滅菌処理などラボでの実験ではオートクレーブが活躍しますが、自宅では圧力鍋で代用可能です。また、培地の滅菌だけなら電子レンジで複数回加熱する間欠滅菌法でもよいようです。

その他実験器具

その他には、50mL遠沈管やディッシュなどの器具が必要ですが、基本的にはAmazonなどで入手可能のようです。

また、実験器具などは70% エタノールでの消毒を怠らないようにしましょう。

細胞培養の流れ

細胞培養は以下の手順で行います。

  1. 鶏の有精卵をふ卵器で発生させる
  2. 発生12日で有精卵から胚を取り出し、組織切片を採取する
  3. 採取した組織切片を細かく切断し、細胞剥離液で処理して細胞を単離する
  4. ディッシュに培地を入れて、その中で細胞を培養する。(@インキュベーター)
  5. 定期的に継代を行う

ちなみに、Shojinmeat Projectで紹介されている方法は、ディッシュで培養するのではなくて、凍みこんにゃくを細胞の足場にして3次元培養する方法が紹介されていました。自宅で3次元培養までできるなんてすごいですね!

まとめ

以上のように、まだ検証が必要な部分は多くありますが、個人で入手可能なものを用いて細胞培養ができそうなことが分かりました。DMEMなどの培養液も市販品でかなり代用できるようになっているようで、オープンソース・プロジェクトの力を感じました。

ほかにも、例えば下のような卓上CO2インキュベーターが開発されていたりと、いろいろな分野の人がかかわることでどんどん進化していきそうですね。

あるいはDIYバイオから派生したスタートアップもあります。

これからが楽しみですね!

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