オープンソースの電子ラボノートeLabFTWの概要と導入方法

電子ラボノートは各社から様々なものが出ていますが、主に「大規模企業・研究機関向けのパッケージ商品」「個人向け / 小規模施設向けのクラウドサービス」「オープンソースプロジェクト」に分類されます。

ここでは、オープンソースの電子ラボノートであるeLabFTWについて紹介していきます。

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目次

eLabFTWとは?

eLabFTWは電子ラボノートのオープンソースプロジェクトで、現在も活発に開発が続けられています。もちろん無料で使うことができ、GNU Affero General Public Licenseの下で公開されています。

もちろん、商用サービスのような手厚いサポートもなく、まだまだ粗削りな部分もあるかもしれませんが、必要な機能はすべて準備されています。21CFR11にも準拠していて、電子ラボノートとしての必要なセキュリティも確保されているようです。何よりもオープンソースプロジェクトで商用サービスのようなブラックボックスがないので、ラボにとっての魂ともいえる実験データを人質に取られることなく、自分自身で完全に管理できることも大きな特徴です。

欲しい機能があれば自分で提案できるのもオープンソースの特徴ですし、プログラミングの技術があれば自分で開発に参加することもできるかもしれません。

公式マニュアルによればeLabFTWは以下のような施設で使用されているようです。

Cardiff University / Hannover Medical School / Helmholtz Zentrum Berlin für Materialien und Energie GmbH / Indian Institute of Science, Bangalore / Indian Institute of Technology, Delhi / INRIA / Institut Curie / Karolinska Institutet / Kuwait University / Max-Planck-Institute of Quantum Optics / Texas Tech University / UMC Utrecht / University of Alberta / University of California / University of Chicago / University of Helsinki / University of North Dakota / University of Tennessee / University of Warwick / Uppsala University / Washington University / Weizmann Institute など

その他、FAQはこちらをご覧ください。

eLabFTW の特徴

電子ラボノートとブログ型サービス

電子ラボノートを使ったことがないとどういうものかイメージがわかないと思いますが、日々の実験の記録を書いていくという意味では「ブログ」と同じだと考えていただけるとイメージしやすいと思います。電子ラボノートの本質的な部分は以下のような記事を読んでいただくとわかるのではないかと思います。

ところで、ブログというとWordpressが有名ですが、Wordpressはサーバー上でPHP + MySQLで構築されているサービスですよね?そして実は、今回ご紹介しているeLabFTWもPHP + MySQLで構築されているシステムであり、一言でいうとブログのシステムそのものなのです。ブログのシステムに個人認証の仕組みと実験記録を記録しやすくするための仕組みを組み込んだものが電子ラボノートのシステムといえるでしょう。

eLabFTWを覗いてみる!

以下のリンクでeLabFTWのデモサイトがオープンしています。

Emailアドレスとパスワードはそのまま変更せずに、LOGINをクリックしてみてください。誰でも自由に書き込んで試してみたりできるテスト用のアカウントですので、早速Createから新しい記事を作成してみましょう。なお、当たり前ですがここでテストで書いた記事はだれでも見れる状態になりますのでご注意ください。

eLabFTW Live demo
eLabFTWのデモサイトの画面です。すでにほかの研究者がテストで投稿した記事がたくさんありますね。早速右上のCreateからテスト記事を書いてみましょう!

eLabFTW の導入方法

クラウド上にインストールして使う

クラウド上のサーバーにeLabFTWをインストールして使う方法です。この方法なら研究室でも自宅でも出張先でもどこからでもeLabFTWにアクセスすることができます。また、費用の面でも初期投資は不要で月額500円±ドメイン代程度で運用可能なので、自前のサーバーを新たに用意するよりもコストパフォーマンスがよいと言えます。

個人的にはクラウド上にインストールして使う方法がファーストチョイスだと思います。インストール方法については以下の記事をご覧ください。

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自前のLinuxサーバー上にインストールして使う

自前のPCでLinuxサーバーを立ち上げてeLabFTWを運用することも可能です。すでにサーバーがある場合はこの方法でもいいかもしれません。あるいは、大容量のデータを扱う場合も、クラウドサービスでは扱うデータ量に応じて料金が高くなってしまうので、自前のサーバーの方がいいケースもあると思います。もしくは、データをクラウドサーバー上ではなく自前で管理したいという場合もこの方法を選択することになります。

詳細は以下の公式マニュアルをご覧ください。

なお、サーバーを新たに用意する必要がある場合は、次のNAS上にインストールする方法もコストパフォーマンスの面から一度検討してみてもよいかと思います。

NAS上にインストールして使う

eLabFTWはDockerにインストールするので、Dockerが使用可能なNASにもインストールすることができます。代表的なものとしてはQNAP製のNASが公式マニュアルでも紹介されています。ただし、現状では64bit ARMのCPUアーキテクチャには対応しておらず(GitHub Issue #2136)、32bitにも対応していないとマニュアルに書かれているので、x64のものを選択した方がよさそうです。

なお、当サイトでの検証はできていませんのでご注意ください。(管理人のあさくらはQNAP TS230でインストールしようとして失敗しました…)

ローカル環境にインストールして使う

eLabFTW はローカルのWindowsマシンにインストールして個人用として用いることもできます。サーバーで本格運用する前の検証用としてもローカル環境で一度使ってみるといいかもしれません。

詳細は以下の記事をご覧ください。

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ブログ向けのレンタルサーバーにインストールして使う(非推奨)

eLabFTWはブログ型のサービスであり、Wordpressと同じPHP + MySQLで構築されていると書きましたが、であるならば一般のブログ向けのレンタルサーバー(エックスサーバーなど)でも動作させることができるのでしょうか?

― おそらく可能だと思います。実際に公式マニュアルでもPHP + MySQLの環境でのインストール方法も記載されていますので、これに従えばできると思います。

ただし、eLabFTWはDockerというプラットフォーム上で運用することを前提として構築されているので、Dockerを使わないインストールはかなり上級者向けであり、推奨はされておりません。少なくともLinuxやサーバーに関する高度な知識が必要になると思います。また、eLabFTWのバージョンアップもスムーズにできるのかもよくわかりません。

当サイトとしてもこの方法は検証していませんのでご注意ください。Dockerを使えるレンタルサーバーがあれば簡単に導入できるはずなのですが…

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