現在実施中のBNCT臨床試験 (2020/2/26 現在)【BNCT】

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BNCTは研究段階の治療であり、すべての治療は臨床試験として実施されます。研究段階の治療では、あらかじめ研究計画を立ててそれをしっかりと審査することで、安全性や妥当性を担保することになります。そして、臨床試験として実施することで、そこで得られた経験を解析することができ、治療の進歩に役立てることができます。

ここでは、現在実施中のBNCTを用いた臨床試験の情報をまとめています。なお、最新情報は随時このページで更新していく予定です。BNCTに関する臨床試験の情報は「臨床研究情報ポータルサイト」からも見ることができます。

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目次

BNCTの治療が行える施設

現在BNCTの治療を実施している施設は以下の3施設です。

ただし、大阪医科大学の関西BNCT共同医療センターは加速器BNCTシステムを用いた治験が終了し、現在医療機器としての承認を受けている最中なので、承認が受けられるまではBNCTの治療は行っていません。(間もなく医療機器としての承認が得られる見込みとなっています)

また、京都大学複合原子力科学研究所の原子炉は2020年2月より定期検査期間に入り、平年通りであれば夏ごろに再稼働の見込みです。

大阪医科大学関西BNCT共同医療センター

加速器BNCTシステムの医療機器としての承認が得られれば、以下の臨床試験の治療が開始されると思われます。

再発高悪性度髄膜腫(WHOグレード2、3)患者を対象としたSPM-011・BNCT30を用いたホウ素中性子捕捉療法治療(BNCT)の臨床効果に関する第II相臨床試験

国立がん研究センター中央病院

国立がん研究中央病院では、大阪医科大学とは別の加速器BNCTシステムが導入されており、2019年12月よりその医療機器としての承認を得るための治験が行われています。

悪性黒色腫と血管肉腫を対象としたCICS-1とSPM-011を用いたホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の第1相臨床試験

  • 臨床研究情報ポータルサイト
  • 大阪医科大学とは別の新しい加速器BNCTシステムを用いて、その医療機器としての承認を得るための治験です。2019年11月より開始されて、現在は第1相臨床試験の段階です。

京都大学複合原子力科学研究所

京都大学複合原子力科学研究所の原子炉では従来よりBNCTの臨床試験が行われてきて、その礎を築いてきました。加速器BNCTシステムが本格的に稼働すればそちらがメインになると思われますが、現在でも原子炉を用いた臨床試験は行われています。

なお、京都大学の原子炉でBNCTを行う場合でも、窓口は京都大学ではなくそれぞれの臨床試験の申請をしている施設(大阪医科大学、川崎医科大学、奈良県立医科大学)になりますのでご注意ください。

また、原子炉は1年間のうち半年程度は定期検査期間となり、BNCTを行うことはできません。2020年は2月から定期検査期間に入っており、再稼働は平年通りですと夏ごろと思われます。

大阪医科大学が窓口の臨床試験

大阪医科大学の窓口は関西BNCT共同医療センターになります。

予後不良再発悪性神経膠腫に対する原子炉非開頭ホウ素中性子捕捉療法とベバシズマブの併用療法の臨床効果及び安全性に関する第II相臨床試験

再発性切除不能血管肉腫に対するホウ素中性子捕捉療法のパイロット臨床試験

  • 臨床研究情報ポータルサイト
  • 血管肉腫に対するBNCTの適応拡大を目指した試験です。少ない症例に対するパイロット試験です。
  • BNCTは表在性のがんに対しては有利であり、また浸潤性に広がる血管肉腫に対してもBNCTのメリットは大きそうです。

放射線治療後再発乳癌に対するホウ素中性子捕捉療法のパイロット臨床試験

  • 臨床研究情報ポータルサイト
  • 放射線治療後の乳癌の再発に対するBNCTの適応拡大を目指した試験です。少ない症例に対するパイロット試験です。
  • BNCTは表在性のがんに対しては有利であり、まだ放射線治療後でも腫瘍選択的に照射できるために、「放射線治療後の再発乳癌」はBNCTが期待される領域です。

川崎医科大学が窓口の臨床試験

川崎医科大学の窓口は川崎医科大学病院放射線科(治療)の平塚先生・神谷先生になります。

皮膚悪性腫瘍に対するホウ素中性子捕捉療法(研究用原子炉利用)の第Ⅰ/Ⅱ相試験

難治性頭頚部腫瘍に対するホウ素中性子捕捉療法(研究用原子炉利用)の第Ⅰ/Ⅱ相試験

  • 臨床研究情報ポータルサイト
  • 標準治療後の再発・難治性頭頸部癌が対象になります。BNCTは放射線治療後でも行えるので、標準治療後の頭頸部癌に対する治療の有力な選択肢になり得ます。

奈良県立医科大学が窓口の臨床試験

奈良県立医科大学の窓口は、奈良県立医科大学病院耳鼻咽喉・頭頸部外科の太田先生になります。

頭頸部腫瘍に対する中性子捕捉療法のプロトコールの確立

更新履歴

なし

まとめ

BNCTはもとも原子炉でしか行えない治療でしたが、間もなく加速器でも本格的に治療が始まりそうで、これから普及していくと期待されます。それと同時に、今までは皮膚悪性黒色腫や脳腫瘍、頭頸部癌に対して行われてきましたが、現在さらに適応拡大の試みもなされています。

なお、がん治療においては発症からの経過やこれまで行ってきた治療の詳細情報が非常に重要になりますので、現在の主治医の先生と連携して行うことが大切です。

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